![]() ▼BGMサンプル 声 よー! 遅かったじゃないか。ロディ。 ロディス あ、レフ、久しぶり。 レフ 久しぶり久しぶりぃ。 ロディ、休暇中はエウロに帰った? ロディス うん。帰ってたよ。 レフ いいよなあ、実家の遠い奴は、里帰りが旅行みたいなものなんだろ。 ロディス あはは……確かに遠いけど、そんないいものでもないよ? クラスメートのレフ・グラジエフはトッカル議会議員の息子で、丘のふもとの街に実家がある。 学校の敷地を出れば、家までは歩いて20分もかからないのだが、学校の規則ということで寮に入っていた。 同級生が皆モスクワやサンクトペテルブルクなどの都会の出身であることを、常日ごろから少々羨ましく思っている様子の── 気さくで大らかな、ロディスにとっては良い友人であった。 レフ 俺なんか家にいても学校にいてもこんな田舎でさ、嫌んなるよもう。 ロディス レーゼクネだって都会ではないよ。 ……というか、ここよりへんぴかも。 レフ でもさー いいよな。 俺もいっぺんひとり旅とかしてみたいなぁ。 ロディス ああ、高速鉄道はなかなか楽しいよ。 レフ だろ! いいよなあやっぱり! ロディス でも、こっちからエウロに行くとたぶん…… 声 うるさいぞ、貴族。 休暇明けから田舎自慢か。 ロディス ……やあ、マルク。 久しぶり。 マルク ふん。 横柄な物言いで会話に割り込んできた少年は、マルク・ミロノフ。サンクトペテルブルク大学教授の息子である。秀才であり、クラスでは委員長を務めていて、来年度の監督生候補との呼び声も高い。 けれど妙にプライドの高い少年で、特にロディスにはちょくちょく突っかかってくるようなところがあった。どうやら、ロディスがエウロ人なのを気に入らないらしい。 レフ ロディ、相手にしない方がいいぞ。 マルク 聞こえてるぞ、レフ。 お前こそエウロ貴族なんかと仲良くして、恥ずかしくないのか。 レフ マルク、言い過ぎだろ! マルク 何を言う。 腐敗体制の元で甘い汁を吸う下劣な輩だぞ。 ロディス ………………。 レフ 君なあ、そんなことロディには関係ないだろ。 マルク 無いものか。 こいつらは生まれつき貴族なんだから、それは、生まれつき罪人なのと同義だろ。 レフ マルク! マルク ふん。 僕は正しいぞ。 トッカルで6年以上過ごしているおかげで、マルクが自分を嫌う理由は理解できる。外の人間から見れば、エウロの封建制は特異なものに映るのだ。彼ほどあからさまでなくとも、エウロと聞いていい顔をしない者は少なくない。 彼の辛辣な言葉には慣れているつもりだが、悔しかった。罵られても自分の生まれなんてどうすることも出来ないのだから。 おろおろするレフに大丈夫だよと声をかけて席に着く。マルクはまだ何か言いたそうだったが、彼の言葉は丁度よくチャイムに遮られた。 (内容は推敲等により最終的には変更になる場合もあります) |